研究紹介 [移動体センシング]

 
PHS測位アルゴリズムの研究
紛失物探索システム
高精度位置補正法
物流移動機器測位のための端末移動状態の判定
対人事故予防安全のための人・自動車ネットワーク統合センシング
PHSによるパレットの位置追跡
物流用環境データロガー
位置情報に基づく効率的輸送管理
PHSによるカラスの移動追跡


■PHS測位アルゴリズムの研究

TOP>>>

 PHSを用いた位置測定方法では一般に受信電界強度法と呼ばれる手法を使用する. これは,複数の基地局からPHS端末で受信される電波の電界強度値を基に端末の位置を推定する手法である. 本研究では,PHSによる測位精度の向上を図るため,最小二乗法や重心法などの位置計算アルゴリズムを考案・評価を行っている.


■紛失物探索システム

TOP>>>

   

 PHS測位での誤差は数百メートルとなるため、輸送物品の紛失に対応することができない。本システムでは、PHS端末に別の電波発信機を取り付け指向性アンテナによってその電波の追跡を行う。電波発信機のON,OFFはPHS通信で行うことができ、電波発信機の信号を受信可能な範囲は数百メートルで、PHS測位の誤差範囲より広いものとなっている。PHS測位と本システムを組み合わせて用いることで、PHS通信が可能な地域では誤差0での探索が可能となる。


■高精度位置補正法

TOP>>>

 PHSによる測位精度を向上させるため,本研究では学習を使った誤差補正法の考案・評価を行っている. 考案した誤差補正法では,物流の主要地点におけるPHS基地局からの電波受信状況を予め記録,データベース化しておき,新たに取得されたデータと記録データとの類似性を統計的に評価し,位置の特定を行う. 本研究においては,測位結果(緯度・経度)と最大受信電界強度値を各地点毎に予め記録しておくことで, 約50mの地点間隔があれば正しいPHS端末位置の特定が行える技術を考案した.


■物流移動機器測位のための端末移動状態の判定

TOP>>>

 PHSを用いた位置探査システムの通信コスト低減,省電力化を目的に,振動によ り物流機器の移動停止を判定するアルゴリズムを考案した.PHSにより1日 1回 計測される位置データにより移動停止を判定し,停止時の最大加速度,移動時の 最小加速度を日々更新し,その中間に閾値を設定する方法である.本手法によ り,数種の物流機器を想定した移動体を用いて,移動体の振動特性,加速度計の 取付け方法などによらず,3日以内の学習により移動体の移動停止の判定が可能 となる事が分かった.


■対人事故予防安全のための人・自動車ネットワーク統合センシング

TOP>>>

 安全・安心な道路交通環境の実現のため,人と車と道路の 情報ネットワーク化が進められています. 本研究では,世の中に浸透したGPS携帯電話および通信カーナビゲーションシステムの 位置計測機能,ネットワーク機能を利用し,見通しの悪い交差点等の危険な 交通場面において人と車を検出し,互いの存在を通知して注意を喚起する人車間 通信システムの構築に向けて,産官学連携で取り組んでいます.

人と車の移動・振る舞いの検出,衝突危険判定,見通し外での無線LAN電波伝播 特性に基づく最適通信切替手法の開発などを行っています.


■PHSによるパレットの位置追跡

TOP>>>

 物流用パレットの紛失防止および利用状況把握を目的,PHSによるパレット位置探査システムを開発しました.パレットの紛失被害額は年間数百億円と見積もられています.本システムでは,パレットの基本位置情報には,既存のPHS位置計測サービスを利用し,さらに,倉庫情報を用いたマップマッチングにより位置精度を上げています.電池寿命は7ヶ月を確保しています.

 今後は,さらなる位置計測精度の向上と,パワーマネジメントによる長寿命化,位置情報のデータマイニングによる効率的管理方法の提案などを行う予定です.


■物流用環境データロガー

TOP>>>

 近年,物流管理の最適化が注目されており,特に貨物の位置管理については情報技術を応用した様々な手法が開発されています.しかしながら,トータルな物流最適化のためには,位置情報に加えて,輸送中の貨物に印加される振動,温度などの物流環境情報の管理が重要です.

 本研究室では,既に開発したPHSによる位置探査システムに加えて,これらの物流環境情報を蓄積するデータロガーの開発を目指しており,その中でも特に重要な振動情報についてデータロガーを試作しました.物流における振動はDC〜300Hz の帯域に分布しており,輸送状況の把握が目的の場合は波形を厳密に再現する必要がないという特徴があります.そのため,記録媒体として汎用のMP3レコーダを用い,そのままでは低周波帯域の記録ができないために振動情報をVF変換し,5kHz帯にシフトさせて記録することで小型,長寿命,低コストを実現しています.


■位置情報に基づく効率的輸送管理

TOP>>>

 これまでに進めてきた,パレット位置追跡技術の発展として,データマイニングによる効率的輸送管理法の研究を行っています.荷役輸送に複数の業者が介入する場合,従来は途中経路の把握はほとんど不可能でした.PHSによる位置探査システムでは,位置情報を自由に獲得でき,そのデータから輸送の無駄を定量的に推定できます.

 これまでに以下の事例を扱いました.まず拠点(倉庫)での滞留日数です.倉庫での滞留日数は,通常は1日以内ですが,2日を越える場合も存在します.そのような拠点,業者は,不適切な管理を行っていると推定されます.図示の例では,滞留日数が2日になれば輸送時間は24%短縮されます.つぎに,予定外ルートの把握です.これは,パレットが無断で使い回されていることを示します.パレットレンタル業者にとっては大きな痛手です.最後に復路の把握です.空で回収される確率が把握できます.復路も荷役輸送に使えば,パレットの輸送費および利用効率を向上できます.


■PHSによるカラスの移動追跡

TOP>>>

(過去の研究)
 カラスに位置探査専用のPHSを装着し,移動経路を追跡するシステムを開発しました.農学生命科学研究科の樋口広芳教授ならびにセイコーインスツルメンツとの共同研究です.技術的な特徴は,PHSの軽量化です.

 カラスの飛行を妨げないためには,装置重量を体重の4%以下とする必要があり,28gが上限です.開発を開始した当時,そのような軽量端末は存在せず,電源を1次電池とし,筐体を薄くし,さらに探索間隔をカラスの行動時間に絞ることで解決しました.この研究は,物流用パレット位置追跡システムに発展しました.